丁寧に生きよう - KOKI YAMADA PHOTOGRAPY

「丁寧に生きよう」

クレイジーケンバンドのオシャレな新曲「IVORY」を聞いていたら、このフレーズが出てきた。安全な車間距離を空けた途端、割り込まれたことに対して癪に障ったが、そこはグッとこらえて自分らしく丁寧に生きよう・・という内容だった。
歌詞の状況はさておき、「丁寧に生きよう」という言葉がなんだかとても、自分自身に照らし合わせて気になる言葉に思えた。

そう思っていた矢先、先日NHKプロフェッショナル仕事の流儀で洋食屋さんの島田良彦さんという方の特集を見た。東京で明治創業の洋食屋の4代目としてこだわりの味を追求している人だという。僕は行ったことがないが、何しろ人気店で、毎日開店と同時に席が埋まってしまうのだ。
それだけ多くの人に支持を受けている料理人が、取材カメラに向かって本気の眼差しで、

「どこまでやっても余裕しゃくしゃくなんて、全然ない。」
「いつも、もっと美味しくならないかと考えてやっている。」
「余計なことを考えないでやり切ってしまう方が良い。」

という言葉を語っていた。
寡黙にカツレツ用の肉を叩いて肉の旨味を引き出している姿を見て、それはそれは何とも言えない、とても重みと深みのある言葉に感じた。

なぜかは分からないが、この時、島田良彦さんの言葉にクレイジーケンバンド横山剣さんの歌声が重なって、「丁寧に生きよう」が、完全に自分の中で格言に変わった。「あぁ、そういうことか」と。

自分は写真家として、フィールドで虎に出逢った時の空気感を伝えられるように、一つ一つ丁寧に写真と向き合っている。虎達が生きる、心奪われる美しい景色に吸い込まれるような想いを馳せて欲しくて、僕は丁寧に写真と向き合っている。虎達の逞しく生きる姿に心を寄せて欲しくて、僕は丁寧に写真と向き合っているのだ。
何万枚撮っても、ドキドキする緊張感を持ちながら、丁寧に写真と向き合っている。そう言える自分が今、確かにいるのだ。このことを忘れないでいたい。

「自分が納得したものを見せたい。」

雑音に惑わされず、そういうシンプルな考えを追求した先にしか自分の伝えたい想いは伝わらないと思う。改めて、今のこの様な時期にそう思えたことを幸せに感じる。
こんな今だからこそ、丁寧に生きることに意味があると思う。

なにはともあれ、洋食屋ぽん多本家に行くしかない。
「IVORY」を聴きながら。


                                                                                           
※画像引用元
(https://blog.fmyokohama.jp/ckb/images/2020/07/05/rs5eadbcwssxf6cucg4i7gwvrudfzdeqwg_.jpg)

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