7.濃密な親子の愛情 - KOKI YAMADA PHOTOGRAPY

7.濃密な親子の愛情




・短いが濃密な親子の愛情
虎は通常一生の内で3~4回ほどの出産を行い、1回で3~4頭ほどの子供を産むと言われています。また、親と子が一緒にいる時間は生まれてから2年ほど。虎の寿命は15年程度と言われていますので、雌であれば、上手くいって人生の半分ほどの8年間は親子で一緒に過ごすことが出来ますが、残りの半分は1人で生きていきます。また、雄に至っては最初の子育てをされる2年間の除けば、ずっと1人で生きていくと言うことからも分かる通り、虎は元来孤独な生き物なんです。

更に、独立後はライオンのように群れをなすことはなく、それぞれが単独行動となります。だから親子であっても、兄弟であったとしても、独立後に次に会うときにはテリトリーや獲物を争うライバル同士となります。

たった2年という子育て期間の短さ、更に独立後はライバル同士になってしまうという関係性は、人間の感覚からすると切なく、悲しい部分もあります。

けれども、短く、また独立後は親子、兄弟としての関係性がなくなってしまうからこそ、親子で過ごすことの出来る2年の間はとても濃い、愛情の時間が流れているように僕には感じられますし、独立後に1人でやっていけるように、2年の間に親が子に毎日何かを教えているんです。

例えば、親が子鹿を捕まえてきて、まだ生きている状態で我が子に与えます。そして、どの部位から、どのように食べていけば良いのかを教えてあげている姿などを私は幾度となく見てきました。

そして、独立が近くなってくると、ある日を境にして3、4週間をかけて母親は子供を突き放してしていきます。具体的には、子供に対して牙をむき、威嚇するのです。これは人間の目から見ると異様な状況のように映るのですが、虎は親が子離れすることで、子供に真に生きる術を教えているのです。





そんな虎の親子を見ていると、自分たちの定めを知っているかのように一緒にいる時間を惜しみ、とても濃く、強い愛情関係を感じるのです。このパートでは、短いながらも濃密な愛情を感じる親子の表情をご紹介しました。

▶ 8.山田耕熙からのメッセージ

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