6.森の王者だからこそ際立つ愛おしさ - KOKI YAMADA PHOTOGRAPY

6.森の王者だからこそ際立つ愛おしさ




・愛おしい表情
ここは虎の持っている意外な側面である、可愛らしく、愛おしい表情を集めたパートです。この写真を見て頂きたいのですが、お腹を上にして、本当にリラックスしていることがお分かり頂けるかと思います。





本当に猫のような愛おしさ、可愛らしさを感じるのですが、野生の森においてこのようにリラックスした状態でいられるのは、実は食物連鎖の頂点にいるからです。誰からも襲われるリスクがないから、腹を上にして、リラックスすることが出来るのです。
    
例えばシカのように、虎などの他者から襲われるリスクのある動物は、腹を上にして寝転ぶようなリラックスした姿などを見ることは出来ません。決してお腹を上には向けず、しゃがむような姿で、ジープなどが近くに来ただけでも瞬時に立って、全速力で逃げられるような姿勢で常にいます。

そういう視点で見ると、強さがあるからこそ、より際だつ可愛らしさ、愛おしさがあることがお分かりいただけるかと思います。そんなことを表現した写真です。

・マーキング
また、この一見愛くるしい表情の写真に注目頂きたいと思います。こちらは遊んでいるのではなく、実は虎にとってとても大事な習性の1つであるテリトリー確保の行為なんです。出来るだけ木の高い位置にクローマーク(爪によるひっかき傷)と自らの匂いを擦りつけることで、自分は大きいんだぞ!と他の虎に存在を示し、テリトリーを奪いにこないようにアピールしています。





先ほどお話したように、虎は群れをなすことなく単独行動をするため、争いでは死ななくとも、怪我の影響で餌が取れなくなり、それが死に繋がってしまうことがあります。よって、出来るだけ無用な争いを避けるために、マーキングによって自らの力を誇示することが生きてく上でとても重要なんです。ここは自分のテリトリーだから入ってこないでねと。

虎は3~4日に1度は、テリトリー内で自らの存在を示す行為を行います。そこでクローマークや自らの匂いの擦りつけたり、他にもにも自らのフン・尿を目立つところにして存在をアピールしたり、興味深いところですと、お尻からスプレーのような分泌物を吹き付ける行為によって自らのテリトリーを誇示します。

私はこれまでも分泌物を吹き付けている姿は何度も見ていたのですが、今年の2月にランタンボールに行った際、まさに分泌物を吹き付けた直後に、その木の横をジープで通る機会がありました。前々から強烈な匂いがするとは聞いていたのですが、実際に嗅いでみると臭くはなく、むしろ、とても香ばしい香りがしたんです。ガイドに「この匂いはなんて表現すればよいのだろう?」と聞いたところ、「これはバターポップコーンだ!」と説明されました。まさにその通りで、「バターポップコーン」のような香ばしい香りがするんです!残念ながら写真では匂いは伝えられないのですが、是非、現地にてそんな香ばしい、バターポップコーンのような香りを経験してほしいと思っています。

▶ 7.濃密な親子の愛情

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