・ストーキング
虎の強さを象徴するのが「狩り」だと思うのですが、その成否を大きく左右するのが獲物を狙う際のストーキングと呼ばれる行為です。だいたい狙った獲物の20メートル付近までストーキングをするのですが、この相手に忍びよる行為を初めて目の前で見たとき、そのとてつもない緊張感と、砂利の上を歩いても物音1つさせない技に感動を覚えました。
この時も、獲物である牛に対して30mくらいの距離があったのですが、みるみるうちに十数mとのところまで近づきました。こんなに大きく、獰猛な動物が近づいているのに、牛はそれまで全く気づきませんでした。まさに、高められた芸術のようにさえ感じます。
虎は獲物を重い腕と鋭い爪で取り押さえ、首元に噛みつくのですが、このストーキングの写真からも発達した前脚と肩の筋肉の強靭さが見てとれると思います。また、太く、力強い前脚に比べると、後脚は細く、前脚に比べて長くなっていて跳躍に適しています。滅多にみることは出来ませんが、狩りの最中に大きくジャンプをする際にも、この後脚で地面を蹴りつけて、かなりの距離を飛びます。これらの姿は野生の虎ならではの躍動感があり、とても迫力がありますので、是非皆さんにも自分の目で見て頂きたいと思っています。
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